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100円ショップ「ダイソー」は全国の約2900店で、閉店間際に流す曲を「別れのワルツ(蛍の光)」から新曲に変えた。新曲はダイソーを展開する大創産業とU-NEXT HOLDINGSのグループ会社USEN、早大マーケティング・コミュニケーション研究所の共同研究をもとに、USENが制作した「Good Day~閉店の音楽」。同社にはすでに企業からの問い合わせがきており、閉店音楽の選択肢の一つとして提供していく考えだ。
古関裕而がレコードに
閉店音楽は閉店時間が来たことを知らせ、さりげなく来店客に退店を促す。新曲作成の背景には、外国人の来店も増え、「蛍の光が流れると閉店が近い」というかつての〝常識〟が必ずしも通じなくなったことがある。また、一部では「蛍の光がかかると強制的に退店させられるような気がする」という声も聞かれていたという。
蛍の光はスコットランドの民謡「オールド・ラング・サイン」を編曲し、尋常小学校の唱歌としたもので、明治14(1881)年には唱歌集に採用されていたという。また戦後、オールド・ラング・サインを3拍子にアレンジした別れのワルツが米映画「哀愁」の劇中曲として使用された。映画の中で閉店を控えたレストランで流れる最後の曲だったことが、日本で閉店・閉館時の音楽として使われる起源となったようだ。国内では、夏の全国高校野球選手権大会の大会歌「栄冠は君に輝く」などで知られる作曲家・古関裕而(ゆうじ)が編曲したレコードで浸透したという。
「再来店意向」高める
長い歴史がある蛍の光は定番だが、USENは「新しい閉店音楽」を模索した。大創産業などと共同研究の結果、新しい閉店音楽が来店客に好ましい感情を抱かれることで、再び来店したいという意向を高められる可能性があると判断。構想から約5年でGood Dayのリリースにこぎつけた。
具体的には予備調査として一般の男女150人に数種類の音楽を聴いてもらい、閉店音楽にふさわしい曲の印象を探ったところ、「郷愁」「自然」「美しい」「落ち着く」「静か」という特徴が明らかになった。ダイソーの店員658人の協力を得た調査も令和4年7月に実施され、これらを経てGood Dayが制作された。USENによると、「ゆったりとしたメロディーをオーボエなど温かみを感じるような音色の楽器で奏でるようにした」という。
それまで、全国のダイソーでは閉店間際に別れのワルツを流していたが6年6月11日、Good Dayに切り替えた。大創産業は「落ち着いた印象があり、閉店音楽にふさわしいと感じている」としている。
USENは同社の配信する店舗音楽の一つとして同日にGood Dayをリリース。「相談や問い合わせを多くいただいており、手応えを感じている」としている。
筆者:高橋寛次(産経新聞)